なぜお金は、お金のあるところに集まるのか
この1年で貯金が増えたのは、年収300万円未満の世帯ではたった13%。年収750万円以上の世帯では45%でした。お金のあるところには、なぜ、さらにお金が集まるのでしょうか。
高校の同じクラスで、テストの点もほとんど同じだった4人。卒業から30年、48歳になった4人の年収は、200万・400万・600万・800万。
倉庫で働く和也、地元の会社で営業をする直樹、工場で機械を点検する剛、東京の大企業で課長をする誠。4人の席に順番に座って、それぞれの暮らしと、頭の中を覗いていきます。
「トイレットペーパーの買い方を調べた研究」「近所の人が宝くじに当たると、自己破産が増える研究」「失業手当が起業を増やした研究」「7,000万人以上の友達のつながりを調べた研究」「ギリギリ受かった人と、ギリギリ落ちた人の研究」「くじで選んだ企画にだけ最初の支援をした実験」などをもとに、お金のあるところに、さらにお金が集まる6つの理由を解剖しました。
それは、誰かがずるをしたからではありません。それでも、どの席の景色にも、その人だけの楽しみがあります。
あなたは今、どの席の景色を見ていますか。よかったらコメント欄で教えてください。
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▼目次
00:00 プロローグ:卒業30年
01:40 第1章:年収200万の景色
05:08 第2章:年収400万の景色
08:02 第3章:年収600万の景色
11:50 第4章:年収800万の景色
15:09 第5章:大富豪のルール
18:12 第6章:くじで選ばれた人たち
20:28 エピローグ:最初の1件
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▼参考文献・データ出典
[1] 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査」2025年(二人以上世帯)
世帯の年収(税込み)ごとに、この1年で金融資産(貯金・投資・保険など。日常の出し入れ用の預金は含まない)が「増えた」と答えた世帯の割合。年収300万円未満 13.5%。750〜1,000万円 40.8%、1,000〜1,200万円 45.5%、1,200万円以上 51.0%(本編の「750万円以上 45%」は、この3つを世帯数で重みづけして合わせた値)。
[2] 国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」
1年を通して働いた人のうち、正社員以外の人の平均給与 206万円。男性でいちばん多いのは年収400万円超500万円以下。男性45〜49歳の平均給与 663万円。従業員5,000人以上の事業所で働く男性45〜49歳の平均 約822万円。
[3] Orhun, A. Y., & Palazzolo, M. (2019) Journal of Marketing Research 56(1), 1–17「Frugality Is Hard to Afford」
アメリカの家庭のトイレットペーパーの買い物の記録を分析。所得の低い家庭は安いメーカーを選んで節約していたが、まとめ買いや特売を使いにくいため、その節約の約半分を失っていた。給料日のあとなど手元にお金があるときは、まとめ買いを使っていた。
[4] Agarwal, S., Mikhed, V., & Scholnick, B. (2020) Review of Financial Studies 33(1), 433–472「Peers' Income and Financial Distress: Evidence from Lottery Winners and Neighboring Bankruptcies」
カナダで、宝くじに当たった人のすぐ近所の家を調べた。当たった金額が大きいほど、近所の家でその後に自己破産する人が増えた。破産した家は、家や車など外から見える資産が多く、外から見えない金融資産は増えていなかった。
[5] Hombert, J., Schoar, A., Sraer, D., & Thesmar, D. (2020) Journal of Finance 75(3), 1247–1285「Can Unemployment Insurance Spur Entrepreneurial Activity? Evidence from France」
2002年のフランスの制度改正で、失業した人が会社を始めても失業手当を受け取り続けられるようになると、新しく生まれる会社の数が月に約25%増えた。生まれた会社が前より早くつぶれたわけではなかった。
[6] Chetty, R., et al. (2022) Nature 608, 108–121「Social capital I: measurement and associations with economic mobility」
アメリカの7,220万人の友達のつながりを分析。所得の低い人の友達の中に、所得の高い人が多い地域ほど、貧しい家に生まれた子どもが大人になってから収入が高い傾向があった(地域ごとの関係で、実験ではない)。
[7] Bol, T., de Vaan, M., & van de Rijt, A. (2018) PNAS 115(19), 4887–4890「The Matthew effect in science funding」
オランダの若手研究者の研究費の審査で、点数が合格の線のすぐ上だった人とすぐ下だった人(ほぼ同じ点数)を比べると、8年後、すぐ上の人は2倍以上の研究費を集めていた。
[8] van de Rijt, A., Kang, S. M., Restivo, M., & Patil, A. (2014) PNAS 111(19), 6934–6939「Field experiments of success-breeds-success dynamics」
クラウドファンディングで、まだ支援のない200の企画のうち、くじで選んだ半分に研究者が最初の支援をした。その後、ほかの人から支援が届いたのは、何もしなかった企画で39%、最初の支援があった企画で70%だった。
※本編の人物・出来事は、説明のための架空の場面です。研究の結果を4人の物語に当てはめる部分は考察です。
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