【巨人歴代OBが弔辞】長嶋茂雄氏の告別式|松井秀喜さん「監督、きょうは素振りないですよね?」王貞治さん&中畑清さんら弔辞で想い語る
0:00 6月3日に89歳で亡くなった読売巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄氏の告別式
0:42 王貞治さんの弔辞
5:17 中畑清さんの弔辞
12:33 松井秀喜さんの弔辞
▽王貞治氏の弔辞
弔辞。長嶋茂雄さん。あなたへの弔辞を読む日がこんなに早く来るとは思ってもいませんでした。あなたは日本の健康優良児でした。存在そのものが、日本人の誇りでした。
グラウンドでは、一挙手一投足が、日本中のファンの心を惹きつけました。日本中があなたを追いかけました。大変だったと思いますが、あなたは嫌な顔一つせず、常に明るく存在していました。太陽のように光を放っていました。本当に特別な存在でした。
そんなあなたに私は迷惑ばかりかけていました。昭和34年、私が入団した年の宮崎キャンプで同室にさせられ、世間知らずの私は、部屋の片付け、布団の上げ下げなどすることもできず、挙げ句に、寝相は悪いは、いびきはかくはで、迷惑をかけっぱなしだったようで、1週間で部屋を替えさせられましたが、その間、長嶋さんは一言も文句を言いませんでした。
アメリカで、ベロビーチでキャンプした時、ロサンゼルスで1泊して、フロリダに飛んだんですが、その出発の日の朝、私が寝坊してしまい、長嶋さんが天窓から部屋に入ってくれて、私を起こし、荷物をまとめてくれたので、飛行機に乗り遅れることはなく済んだこともありました。
私にとっては、長嶋さんは超普通の人でした。長嶋さんは私に普通人として接してくれました。長嶋さんには頭が上がりませんでした。足を向けて寝られない人でした。そんな大恩人の長嶋さんとのこんなお別れは、到底受け入れられません。皆さんも同じだと思います。しかし、そうは言っても、現実に引き戻されてしまいます。あとは、静かに、静かにお見送りするのみです。
長嶋さん、ありがとうございました。あなたとの六十有余年、私にとっては忘れることのできない貴重な年月でした。感謝するしかありません。89年間、よくぞ頑張ってくれました。日本人のために頑張ってくれました。ありがとうございました。安らかにお眠りいただくことを願うのみです。「長島茂雄」に戻ってゆっくりとお眠りください。さようなら。
令和7年6月8日。王貞治。
▽中畑清氏の弔辞
監督、親父さん、そしてミスター。長い間ありがとうございました。あなたは私の人生の全てです。思い出は山ほどあります。忘れられないのは、伊東キャンプです。監督と二人で交わした個人ノック、忘れられません。ノックの天才ですね。飛び込んでも、飛び込んでも絶対捕れない距離感、それを打ち分ける天才です。捕れない。それに向かって、「この下手くそ、下手くそ」。私はノッカーに「この下手くそ、下手くそ」と言い返しました。たまに打ってくれるサービスボール。嬉しかったです。捕って喜んで、監督めがけて投げ返していました。そのボールに「ヒョー、ヒョー」と叫びながら、踊りまくる監督との対決が忘れることができません。私の野球人生で最高の思いです。夢の時間でした。
そして、伊東キャンプの最終日、我々を苦しめた馬場平でのランニング。馬場平というのは急な坂道が続いていく。そして折り返し、緩やかな坂道を帰るという一周するランニングコースです。厳しいです。きつかったです。私は最後のチャンスだと思い、篠塚に「シノ、何とか監督走らせろ。1回走らせろ」とけしかけたのは私です。そしてシノは普段にはないような、監督のそこまで行ってわざわざ、「偉そうに腕組んで見てんじゃねえよ。1回、自分で走ってみろ」。すぐにです。
それに対して、笑顔で挑発に乗ってくれましたよね。ペッペッと両手に唾を吐いて、「よーしっ」と一気にあの坂を登り始めたんです。一気に登り始めて、姿が見えなくなり、しばらくして、帰ってきてくれるのかなと思いましたけど、なかなか帰ってこない。やっと姿が見えた時には、もう息絶え絶え。ケツ割れして、子供がうんこ漏らしたようなそんな感じで、ヘタヘタになって帰ってくる。
その姿を見て、我々選手は長嶋コールを始めました。「長嶋、長嶋、長嶋」。ゴールした時に、初めて親父さん、ご苦労さまでした。そして、雲の上にいた監督長嶋茂雄が、我々のところまで降りてきてくれたのかなという感情を持ちました。そして、みんなが長嶋ファミリーになった瞬間ではなかったかなという気がします。ありがとうございました。
そして、もう一つは、ミスター。この言葉に本当に憧れを感じていました。一度でいいから本人に向かって「ミスター」と呼びたかったです。そのチャンスが、現役が終わり、引退した後に、監督とゴルフを、千葉県のゴルフ場で一緒にさせていただくことがありました。今日がチャンスだ、そう思って、面と向かって言うのは勇気が要ります。背後から背中越しに「ミスター」と声かけたら、「おお、どうした、キヨシ」と満面の笑みで振り返ってくれました。
その時に子供のような気持ちで、私は心臓が止まるぐらい感動し、喜んだことを覚えています。それ以来、「ミスター、ミスター」と呼ばせていただきました。
ミスターの凄さ、いろいろあります。そんな中で、私の中で忘れられないのは、ミスターは万人に対し、誰にでも対し、心優しい笑顔を見せながら対応する、言葉をかける。あの姿。私は謙虚に、ビッグになればなるほど謙虚に生きろよ、ということを教わったような気がします。それを手本に、これからも頑張っていこうと思います。
本当にありがとうございました。頑張るだけ頑張ってきた89年だと思います。ここで一息入れてください。ゆっくり休んでください。そしてまた、その満面の笑みで国民の前に出てきてくれる夢を見させてください。安らかにお眠りください。本当に長い間ありがとうございました。
▽松井秀喜氏
監督、きょうは素振りないですよね? その目を見ていると、「バット持ってこい。今からやるぞ」と言われそうでドキッとします。でも、今はその声を聞きたいです。
ドラフト会議で私を引き当ててくださり、満面の笑みで親指を突き上げてくれました。タイガースファンだった私は、心の中でちょっとズッコケました。しかし、その後、すぐに電話で「松井君、待ってるよ」と言ってくださり、あっという間に私の心は晴れました。
監督はひとたびユニホームを着てグラウンドに出ると、強烈な光を発し、私と二人で素振りをする時は、バットマン長嶋茂雄になりました。それが私の日常でした。
監督が引退された年に生まれた私は、監督の現役時代をともに過ごした方々と同じ気持ちになりたくてもなることはできません。その時代を生きていません。ですが逆に、私はその、野球の神様、長嶋茂雄というものを、肌で感じていないからこそ、普段、普通の自分自身で接することができました。それが私にとって、非常に幸運だったと思っております。
監督を退任する日、私は最後の素振りだと思って、振っている途中、涙が止まりませんでした。これが最後の素振りになると思ったからです。「何泣いてんだ。タオルで涙ふいて、ほら振るぞ」。そう声をかけてくださいました。それが最後だと思っていましたが、翌日もやりましたね。そして、次の年も次の年もやりました。私は長嶋茂雄から逃げられません。これからもそうです。それが私の幸せです。
監督、私は現役時代に一度だけ監督にお願いしたことを覚えていますか。私はセンターを守っておりましたが、「監督、どうせなら私、サードやらしてくださいよ」とお願いしました。そしたら、「お前はサードじゃないよ。お前はやっぱりセンターだ。俺はお前をジョー・ディマジオにしたいんだ」とおっしゃってくださいました。私は全くピンときておりませんでした。
ある日、素振りで監督のご自宅にお邪魔した時、私はそこにジョー・ディマジオのバットとジョー・ディマジオの大きな写真があることに気づきました。見逃しませんでした。
監督は本当にジョー・ディマジオが好きなんだなと思って、また、その選手のようになれと言ってくれたことに、本当にその時、幸せに感じました。それから私は喜んでセンターが大好きになりました。その時、監督は、私がジョー・ディマジオと同じユニホームを着て、同じグラウンドでプレーすることを夢に思っていなかったと思います。
もちろん、私も思っていませんでした。私が引退して、監督に挨拶に行った時、「監督がジョー・ディマジオって言ったから、私、ヤンキースに行ったんですよ」って言ったら、この笑顔を見せてくださいました。その時、初めて私は、大好きなジャイアンツを去ることになりましたが、これで良かったんだと思いました。
そして、今も遠い離れた場所にいます。日本に帰ってくるたび、監督にご挨拶に行くと、監督の言いたそうなことを、言おうとするのに言わない。でも、その気持ちはいつも受け取っておりました。これからも監督が、なぜ私だったのか、なぜ私にたくさんのことを授けてくださったのか。その意味を、その答えを、自分自身が心の中で、監督に問い続けます。
今度は、私が監督を逃がしません。ですから、今日は「ありがとうございました」も、「さようなら」も、私は言いません。今後も引き続き、よろしくお願いします。そして、その強烈な光で、ジャイアンツの未来を、日本の野球の未来を照らし続けてください。
★日テレNEWS「巨人関連ニュース」 https://news.ntv.co.jp/tag/%E5%B7%A8%...
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