なぜダチョウの卵は売られないのか?鶏卵二十四個分もあるのに
朝、冷蔵庫から卵を一つ取り出す。
鋳鉄の鍋の縁に軽く当てれば、殻は一瞬で割れる。
その動作が成り立つのは、殻が薄いからだ。
世界にはもう一つ、別の卵がある。
重さは千四百グラム。中身は鶏卵およそ二十四個分。
黄身は、動物が作る細胞としては地球で最大。
殻の上には大人が乗っても割れず、試験機の針は七十キロを指す。
産んだ鳥は、草だけを食べて一年で百キロを超える。
それなのに、どの売り場にもダチョウの卵は置かれていない。
理由は味でも、食文化でもない。
この動画では、六万年前の南アフリカの水筒から、
クライン・カルーの羽根景気とその崩壊、
吸盤が吸いつかない殻、四十二日の孵化、
卵を食べれば鳥が消えるという農場の計算、
二メートル半の鳥が入らない工場の天井、
そして京都の研究室で黄身から取り出された抗体まで、
この卵が棚にたどり着けなかった理由を順にたどっていく。
最後に、もう一度あなたの台所に戻る。
手のひらに乗る薄い殻は、自然が決めた厚さではない。
それは、私たちが作った箱と機械が残した厚さだ。
コメント 読み込み中…