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中国がレアアースを止めたのに、なぜ日本の工場はまだ止まっていないのか|2010年の教訓

2025年、中国がレアアースの輸出を世界向けに絞ったとき、スズキはスイフトの生産を2週間近く止めました。ところが2026年、中国が日本だけを対象にした輸出の規制を始め、ジスプロシウムとテルビウムの日本向けはゼロになったと伝えられているのに、日本の工場がレアアースで止まったという会社の発表は見当たりません。 なぜ、日本の工場はまだ止まっていないのか。磁石を「お弁当」、ジスプロシウムを「梅干し」に見立てて、2010年のあとに日本がした備えと、2026年に中国が止めたもの・止めなかったものから確かめます。 ▼この動画で分かること ・ネオジム磁石は1982年、住友特殊金属の佐川眞人さんたちが生み出した(同じころアメリカでも開発され、本人によると特許の出願の差は2週間) ・2010年代はじめ、ハイブリッド車の駆動モーターの磁石には、ジスプロシウムが重さで5〜15%ほど入っていた。経済産業省は2020年の国会で「世界でもほぼ中国しか生産をされておりません」と答弁 ・酸化ジスプロシウムの値段(年末)は2009年の1キロ170ドルから2011年の1600ドルへ、およそ9倍(米国地質調査所) ・2010年のあと、粒の境目にだけジスプロシウムをしみこませる方法などで使う量を減らし(会社の発表で3割から半分ほど)、日本のレアアース全体の国内需要は2010年の約2.7万トンから2019年の約1.9万トンへ約3割減った ・JOGMECと双日がオーストラリアのライナスに2011年に2億5000万ドル、2023年に2億豪ドルを出し、2025年10月からマレーシアで分けた重いレアアースが日本に入り始めた ・日本のレアアース輸入に占める中国の割合(量)は2009年85%→2012年58%と下がったが、2025年には75%に戻った(この動画で計算。政府も「約7割」と答弁) ・2026年1〜3月にライナスが作ったジスプロシウムとテルビウムは3か月で8トン。2024年に中国から日本へ届いていたのは、ひと月に約14トン(ロイター) ▼チャプター 0:00 中国がレアアースを止めたのに、なぜ日本の工場はまだ止まっていないのか? 1:49 なぜ、ほんの少しのレアアースで、工場が止まるのか? 6:57 2010年のあと、日本は何をしたのか? 14:39 2026年、中国は何を止めて、何を止めなかったのか? 20:40 日本の備えは、どこまでもつのか? 24:40 答え ▼注記 ・図の多くは、この動画のために描いた模式図や絵です(工場のライン、お弁当、梅干しの店、つぼ、港、船など)。グラフは、経済産業省・米国地質調査所・国会答弁・報道などの公表値から描きました。世界地図は Natural Earth のデータです。 ・「お弁当の梅干し」はこの動画のたとえです。磁石=お弁当、ジスプロシウム=梅干し、梅干しの店=中国の生産、別の店=ライナス、つぼ=国の備蓄や会社の在庫、という意味で使っています。夏の弁当に梅干しを入れると傷みにくいと昔から言われる、という言い伝えを借りたもので、食品の効き目を説明するものではありません。 ・この動画で計算したもの:中国の割合と中国から買う量=日本の貿易統計を国連の統計(UN Comtrade)に出した値の HS 2805.30(希土類金属)と HS 2846(希土類の化合物)の重さから計算(2012年 8,013トン→2025年 18,659トン)/値段の約9倍=1600÷170/磁石の「前の年の7月は約2倍」=共同通信の「7月は111トン、前年同月比で半減」から ・中国の公告(2026年第1号ほか)には、レアアースという言葉はありません。ジスプロシウム・テルビウムの日本向けがゼロになったことは、中国の税関の統計を伝えた報道によるものです。 ・2010年に中国が日本向けのレアアースを本当に止めたのかは、研究者の間で見方が分かれています。2026年の規制についても、日本政府(撤回を求める)と中国政府(対象は一部の団体だけ)の言い分を主語をつけて並べ、どちらが正しいかを決めていません。原料と製品で輸出の差が出た理由は、中国政府が説明しておらず、動画では第一生命経済研究所の見方として紹介しています。 ・国の備蓄にレアアースが入っているか、どれだけあるかは、政府が公表していません。備蓄の放出は、経済産業省の職員の話としてロイターが伝えたものです。 ・特定の国・会社・人物を評価するものではありません。株などの売り買いをすすめるものでもありません。 ▼主な出典 ・経済産業省「鉱物政策を巡る状況について」(産業構造審議会 鉱業小委員会 2024年10月28日 資料3)https://www.meti.go.jp/shingikai/sank... ・経済産業省「重要鉱物に係る安定供給確保を図るための取組方針」(2024年3月29日改定)/経済安全保障推進法「永久磁石」の認定供給確保計画 https://www.meti.go.jp/policy/economy... ・中国商務部 公告2026年第1号(2026年1月6日)・第11・12号(2月24日)・第27・28号(6月29日)https://www.mofcom.gov.cn/zcfb/blgg/g... ・外務省 報道発表(2026年2月24日)https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/re... ・U.S. Geological Survey「Minerals Yearbook: Rare Earths」2009〜2011 / Fact Sheet 087-02(2002) ・UN Comtrade(日本の輸入、HS 2805.30・2846)https://comtradeplus.un.org/ ・国会会議録 https://kokkai.ndl.go.jp :2008年2月28日、2010年10月18日・10月21日・10月27日、2011年11月30日、2012年3月21日、2015年6月17日、2020年4月13日、2021年4月7日・5月12日、2022年4月15日、2023年5月12日、2025年11月28日、2026年2月25日・3月26日・5月28日・6月9日・6月11日 /答弁書 第176回国会 第214号 ・双日・JOGMEC 共同発表「レアアース(重希土)の日本向け供給確保」(2023年3月7日)https://www.sojitz.com/jp/news/2023/0... ・Lynas Rare Earths, ASX announcement「Lynas achieves first separated Heavy Rare Earths production」(2025年5月16日) ・日本国際賞 2012年 佐川眞人氏 https://www.japanprize.jp/prize_prof_... /佐川眞人「世界最強のネオジム磁石の発明と工業化」the OSTEC(2016) ・Honda R&D Technical Review Vol.24 No.2(2012年10月)「部分拡散法によるレアアース低減マグネットの開発」/Honda ニュースリリース(2016年7月12日) ・物質・材料研究機構・科学技術振興機構 共同発表(2014年3月26日) ・信越化学工業 ニュースリリース(2012年3月22日)/日産自動車 ニュースリリース(2012年11月20日)/トヨタ自動車 ニュースリリース(2018年2月20日) ・日立製作所 ニュースリリース(2010年12月6日) ・第一生命経済研究所 嶌峰義清「対日輸出規制強化後の対中レアアース輸入」(2026年6月5日)・「重要鉱物の対日輸出をほぼ停止する中国」(2026年9月15日)https://www.dlri.co.jp/ ・海洋研究開発機構 プレスリリース(2026年7月24日) ・報道:Reuters「China squeezes Japan over rare earths in repeat of 2010 showdown」(2026年5月22日)/共同通信(2026年6月20日・7月6日・8月20日・6月10日)/Bloomberg(2026年3月18日、JAM会長)/日刊工業新聞(2026年3月17日)/The New York Times(2010年9月22日) ▼クレジット BGM:Unresolved Motion(Sunoで制作) 地図:Natural Earth ナレーション:音声合成(語り手の声) #レアアース #ジスプロシウム #中国

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